最新号特集
art_icle Store
海外レポート
展覧会情報
コンサート情報
Art Database 芸力
芸術の旅専門 株式会社ラテーザ
美術愛好家とコレクターの会 美楽舎
広告代理店 株式会社サンアド
ART GATE PROGRAM
バイリンガルのアートレビュー&情報サイト
定期購読
チケットプレゼント

ART HK
YOUNG ART TAIPEI
CIGE
ART FAIR KYOTO
KIAF

アーティクル 3号特集
古き良き銀座を残すアートビル
図解 奥野ビル
飾りケイ

銀座のホテル西洋銀座とメルサギンザ2の間、中央通りから二つ入った通りに奥野ビルはある。重厚なコンクリートの壁、スクラッチタイルの外観が、昭和初期の時代の匂いを醸し出している。階段のモダンな手すり、昔ながらの二重扉のエレベーターなど、中に入ると、その時代にタイムスリップしたような錯覚すら覚える。
ここは、かつて「銀座アパートメント」と呼ばれ、銀座界隈でも屈指の高級アパートだった。文士・歌手・ダンサーといった時代の先端を担う多彩な人々の生活の場だった。今は、居住用としての利用はほとんどなく、画廊を中心としたテナントが入り、「芸術の街 銀座」を芸術発信の場として支えている。
銀座を訪れた折には、古き良き銀座とアート鑑賞を兼ねて、この銀座一丁目にある「奥野ビル」探検をお勧めする。

区切り線

1F
■データ  
名 称:

奥野ビルディング(旧銀座アパートメント)

竣 工:

一九三二年(昭和7年)

所在地:

東京都中央区 銀座1-9-8

設 計:

川元設計事務所

構 造:

鉄筋コンクリート造7階建、 地下1階
(7階部分は後の増築)


区切り線

各部屋それぞれに個性が光る
区切り線

1F・B1F・2F

入口を入ると正面には、地下、上階へ進む階段とエレベータがある。地下1階には、「小野画廊II」・「KOBO&TOMO」があり、若いアーティストの発表、販売の場となっている。

階段でも上り降り可能だが、ここは、昔ながらの情緒あるエレベーターに乗りたい。ただし、二重になっている開閉ドアはそれぞれ手動で、「注意書き」を丁寧に読んで欲しい。

2階から上には、〈アートビル〉の名の通り、「純画廊」「ギャラリーLa Mer」「さわらび」「銀座ワン」「ギャラリー石」等ギャラリーが多く入居している。各ギャラリーでの展覧会開催時期が揃えば、ハシゴも可能だ。

1F写真
区切り線

3F

3階には、このビルに画廊として最初に入居した老舗「巷房」がある。
三つ分のスペースを一つにしたギャラリーで、他の店舗やギャラリー等と比べると、かなり広く感じる。主に企画画廊として営業している。ビルの雰囲気、壁の重厚さを好む多くの作家からの展示希望で、2年先まで展示予定が埋まっている。CMやジャケット撮影等の問い合わせも時々あるのだそうだ。昔の建築物であるため、天井が低い。しかし、そうした部屋のつくりが逆に多くの作家が気に入る条件の一つでもある。

展示スペースとして、鑑賞者と作品・作家との距離が他と比べ非常に近い。これも奥野ビル内のギャラリーの共通した魅力の一つなのかもしれない。

3F写真
区切り線

4F

4階には、ヴィンテージ万年筆を専門に扱う「ユーロボックス」がある。約5坪の店舗の中には、常時千本を超?える万年筆が並んでいる。しかも、ほとんどがヴィンテージとあって、万年筆愛好家には広く知られている有名店だ。ヴィンテージといっても、店主が調整を施し、どの万年筆も今すぐにでも使用可能。修理も行うが、メーカーもお手上げのものも数多く取り扱うため3ヶ月先まで予約がいっぱいだそうだ。

Eメール等の普及により、字を書く機会が少なくなっている昨今、たまには上質な万年筆で、日頃お世話になっている方々に直筆の「手紙」などを書いてみてはいかがだろうか。ペリカン製やモンブラン製等弾力性に富んだペン先、鮮やかなインク色。「文章内容」「てにをは」はさておき、書き手の個性も一緒に届けたい。紙に書く自らの文字が、なんだか普段より上手くなったような気分にさえなる。

階段写真
区切り線

5F

5階にあるのは、モダンでレトロな奥野ビルにぴったりのお店「Y’s ARTS」。ここは、主に書斎周りに合う小物を扱うセレクトショップ。銀座の喧騒を遠ざけ、静かな雰囲気をかもし出すビルに、アンティークな商品が並ぶ。まるで個人宅の書斎にお邪魔したかのような空間づくりが、魅力的。真白く塗られた壁面とオーク調の床板が、マッチしている。時代を感じるモダンな小物のチョイスと店主のセンスが光る。
他に「Gallery銀座フォレスト・ミニ」「ギャラリー松林」「APS」等があり、「Y’s  ARTS」のアンティーク同様、ゆったりと流れる時間と空間を堪能することができる。

また、同階の「PLATFORM STUDIO」では、「Y’s ARTS」とは正反対のつくりのギャラリー。装飾の施されていない剥き出しの壁面をそのまま利用している。展覧会の内容により室内が、独特の空間へと変容する。奥野ビル内でも存在感抜群のギャラリーだ。

廊下写真
区切り線

6F

5階から続く時間の流れと静けさの中を6階へと歩みを進めると、心安らぐ小品を扱う「時蔵」というアンティークショップがある。6階の店舗はこの店だけ。そのほかに、デザインスタジオ等が入居し、ひっそりと静かな雰囲気を醸し出している。建設当初は、この6階までだったが、後に7階部分を増築したようだ。6階には、7階へ上がる簡易の階段を見ることができる。

6F階段写真
アンサーへ

 

奥野ビルに入居する店舗や事務所・ギャラリーなどは、あまりマスメディアを利用しない、いわば、「知る人ぞ知る」というタイプの店舗が多い。これもまた、物静かなビルオーナーと同様、奥野ビルそのものの雰囲気を大切にしている由縁なのだろうか。特集記事としてまとめながら、多くの人々に奥野ビルに訪ねてもらいたいと思う一方、実はどこか個人的に「隠れ家」あるいは「秘密な穴場」として、隠しておきたい気持ちも強まってきた。奥野ビルという建物は、このビルの魅力に惹かれ、そしてこのビルの歴史的背景、つくり、性格等を十分に熟知した店主・入居者達に大事に見守られながら、これまで生き続けてきたビルなのかもしれない。



文 花坂 陽朗

〈奥野ビル公式お店マップ〉
募集!

今回のart_icle本誌特集では、art_icle編集部が独自に作成した奥野ビルの解説図を掲載していますが、奥野ビルを多くの方々に利用してもらうことを目的に、さらにユニークでわかりやすい「奥野ビル探索マップ」をこのたび募集します。
最優秀作品には、本誌より豪華賞品をプレゼント。また最優秀作品は、奥野ビルオーナー奥野亜男氏の了解をいただき、公式マップとして採用。奥野ビルに訪れた方々に向け配布することを検討しています。
詳しい応募方法、白地図ダウンロードは下のリンクをクリックしてください。

マップのイメージ